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ゴム加工.com コラム

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ゴム部品が劣化する5つの原因とは?熱・オゾン・油・設計による劣化と長寿命化対策を解説

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ゴム部品は、パッキンやガスケット、Oリング、防振材など、さまざまな設備や機械で使用されています。しかし、長期間使用していると「硬くなった」「ひび割れが発生した」「膨らんで寸法が変わった」「想定より早く交換が必要になった」といったトラブルが発生することがあります。
こうしたゴム部品の劣化は、単純に「材料の性能が低かった」ことだけが原因とは限りません。実際には、使用環境・部品形状・負荷といった複数の要因が重なり合って寿命を左右します。
そのため、カタログ上で耐熱性や耐油性に優れたゴムを選んでも、実際の使用条件に合っていなければ早期破損のリスクを十分に抑えられない場合があります。
ゴム部品を長寿命化するには、「どのゴムが高性能か」を考えるだけではなく、なぜ劣化したのかを特定し、材料・形状・検証方法を総合的に見直すことが重要です。
本記事では、ゴム部品の早期劣化を招く5つの主な要因として、熱、オゾン、油・溶剤、形状・設計、実験室データと現場環境の乖離を取り上げ、それぞれの劣化メカニズムと対策を解説します。

ゴム素材の選定丸わかりガイド

ゴム部品の寿命を左右する考え方

「環境」「形状」「負荷」の相互作用で考える

ゴム部品の寿命を考えるうえで重要なのは、劣化を一つの原因だけで捉えないことです。
ゴム部品は、使用中にさまざまな影響を受けています。
たとえば、高温環境で使用されるパッキンであれば「熱」の影響を受けます。屋外に設置されていれば、オゾンや紫外線による影響も考慮する必要があります。
さらに、部品に油や溶剤が触れれば材料自体の物性が変化する可能性があります。
それだけではありません。鋭角な形状や過度な圧縮によって局所的に応力が集中している場合、材料そのものに十分な耐久性があっても、特定部分から亀裂や疲労破壊が進むことがあります。
つまり、ゴム部品の寿命は、「環境」「形状」「負荷」の相互作用によって決まると考えることが重要です。

カタログ値だけでは実際の寿命を判断できない

ゴム材料を選定するとき、耐熱温度や耐油性など、カタログに掲載された数値を参考にすることは重要です。
しかし、カタログ値だけで実際の寿命を判断することは難しい場合があります。
実験室での評価は、常温や単一の環境条件で実施されるケースが多い一方、実際の製造現場では、「熱+油+振動」といった複数の条件が同時に作用することがあります。
その結果、単一条件では問題がなくても、複合環境では劣化が早く進行する可能性があります。
そのため、材料選定ではカタログスペックを参考にしながらも、実際に使用する環境との違いを認識する必要があります。

材料選定と形状・設計改善を組み合わせる

ゴム部品の寿命を延ばす方法として、高性能な材料へ変更することを最初に考えるケースは少なくありません。
しかし、劣化の原因が形状による応力集中にある場合、材料変更だけでは根本的な解決にならない可能性があります。
逆に、現在のゴム材料をそのまま使用していても、角部にRを設けるなど形状を少し変更するだけで、応力集中を緩和できるケースもあります。
したがって、ゴム部品の長寿命化では、化学的なアプローチである材料選定と、物理的なアプローチである形状・設計改善の両方から検討することが重要です。

ゴム部品の早期劣化を招く5つの要因

ゴム部品の早期劣化につながる主な要因として、次の5つが挙げられます。

  1. オゾン
  2. 油・溶剤
  3. 形状・設計
  4. 検証の乖離

熱によってゴムが硬化・軟化する場合もあれば、オゾンによって表面に亀裂が発生するケースもあります。
また、油や溶剤に触れることで膨潤や抽出が起こり、物性が低下することもあります。
さらに見逃しやすいのが、形状による応力集中と、カタログデータと実際の使用環境の違いです。
以下では、それぞれの要因について詳しく見ていきます。

要因1:熱による硬化・軟化

熱による硬化と弾性の低下

高温環境では、ゴムの分子構造が変化し、硬化が進むことがあります。
PDFでは、硬化のメカニズムとして架橋が進むことで弾性を失う状態が示されています。
ゴムが必要以上に硬くなると、本来必要とされる弾性や変形性を維持できなくなります。
その結果、パッキンやシール部品などでは密着性が低下し、部品本来の機能に影響する可能性があります。

分子鎖の切断による軟化・べたつき

熱による劣化は、必ずしも硬化だけではありません。
ポリマー主鎖が切断されて分子量が低下すると、ゴムが軟化し、べたつきなどが生じる場合があります。
つまり、高温によるゴム劣化には、硬くなるケースと柔らかくなるケースの両方があります。
外観だけで原因を判断せず、どのような使用条件で、どのような物性変化が起きたのかを確認する必要があります。

熱劣化を防ぐための対策

熱劣化への基本的な対策は、実際の使用温度を把握することです。
特に重要なのが、通常運転時の温度だけではなく、一時的に到達する最高温度も確認することです。
設備の立ち上げ時や異常時、一時的な高負荷運転などによって、通常時より高い温度にさらされる可能性がある場合、その条件も含めて材料を選定する必要があります。
熱環境への対策として、使用温度域を基準にEPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを検討する方法があります。
ただし、「耐熱性が高ければ高いほどよい」という考え方は適切とは限りません。
PDFでは、耐熱グレードへの変更によって、引裂き強度などの機械的強度が低下する可能性についても注意が示されています。
そのため、耐熱性だけを見るのではなく、実際に必要な物理的強度とのバランスを考えて材料を選定することが重要です。

要因2:オゾンによる亀裂

オゾン劣化のメカニズム

ゴム部品の表面に細かな亀裂が見られる場合、オゾン劣化が関係している可能性があります。
PDFでは、大気中のオゾンがゴム分子の二重結合を攻撃し、引張応力に対して垂直方向に亀裂が発生するメカニズムが示されています。
特に屋外で使用されるゴム部品では、オゾンや紫外線などの環境要因にさらされます。
オゾン劣化は、材料だけの問題ではありません。
ゴム部品に引張応力がかかっていると、亀裂の発生や進行を促進する場合があります。
つまり、同じゴム材料でも、部品形状や取り付け状態によって劣化速度が変わる可能性があります。
このため、オゾン対策では耐候性のある材料を選ぶだけでなく、部品に過度な応力が発生していないかも確認する必要があります。

材料選定と配合による対策

オゾン劣化への対策として、PDFではポリマー主鎖に二重結合を持たないEPDMやシリコーンなどの選定が挙げられています。
屋外環境やオゾンにさらされる用途では、材料の耐候性を考慮することが重要です。
オゾン劣化への対策として、老化防止剤やワックスを配合し、表面に保護膜をつくる方法もあります。
ただし、ワックスを多く配合すると、表面が白化する「ブルーム現象」が発生し、外観不良につながるリスクがあります。
したがって、耐久性を高めることだけでなく、外観要求とのバランスも考慮する必要があります。

要因3:油・溶剤による膨潤・抽出

油を吸収して膨らむ「膨潤」

ゴム部品が油に接触すると、油を吸収して体積が増加する「膨潤」が起こる場合があります。
膨潤すると寸法が変化するだけでなく、強度が低下し、部品として必要な性能を維持できなくなることがあります。
たとえば、Oリングなどのシール部品で大きく膨潤すれば、正常な取り付け状態を維持できなくなる可能性があります。

可塑剤の抽出による硬化・収縮

油の影響は膨潤だけではありません。
ゴム内部の可塑剤が油によって抽出されると、ゴムが硬化したり収縮したりすることがあります。
つまり、油との接触によって「膨らむ」ケースもあれば、「硬く縮む」ケースもあります。

油種・添加剤・温度まで確認する

材料カタログに「耐油性あり」と記載されていても、それだけで実際の使用環境に適合すると判断するのは危険です。
PDFでは、油に含まれる添加剤がゴムを攻撃する場合や、温度上昇によって腐食性が増す場合があることが指摘されています。
したがって、油の種類だけではなく、添加剤や使用温度まで確認することが重要です。
油・溶剤に対する材料選定では、油の極性などを考慮しながらNBRやフッ素ゴムなどを検討します。
ただし、「耐油ゴムだから問題ない」と決めつけるのではなく、実際に使用する具体的な油種と温度条件で適合性を確認することが重要です。

要因4:形状・設計による応力集中

材料変更だけでは解決できない形状の問題

ゴム部品の不具合が発生すると、より高性能な材料への変更を考えがちです。
しかし、劣化の原因が形状にある場合、材料変更だけでは十分な改善が得られないことがあります。
PDFでは、劣化そのものは化学反応であっても、その進行を早める要因として「物理的な応力集中」が挙げられています。
鋭角な角部がある形状では、その部分に応力が集中します。
90度の角部などへ繰り返し荷重がかかると、その箇所が亀裂や疲労破壊の起点になる可能性があります。
また、過度な圧縮もゴムに無理な変形を与え、劣化を促進する原因になります。

角部へRを設けて応力を分散する

形状面での対策として有効なのが、角部へRを設けることです。
鋭角な形状を丸みのある形状へ変更することで、特定部分への応力集中を緩和できます。
PDFでも、90度の角部とRを付けた設計が比較され、R設計によって応力を分散させる考え方が示されています。

つぶし代・圧縮率を適切に設計する

パッキンやシール部品では、つぶし代や圧縮率も重要です。
過度に圧縮すると部品に大きな負荷がかかり、寿命を縮める可能性があります。
必要なシール性能を確保しつつ、無理な変形を避ける適切な設計が必要です。

高性能材料より形状改善が有効な場合もある

ゴム部品の長寿命化では、必ずしも高価で高性能な材料へ変更することが最適解とは限りません。
PDFでは、「高スペックなゴムへの変更」よりも、「形状の微修正」が長寿命化への近道となるケースがあることが示されています。
材料費を上げる前に、形状や負荷条件まで含めて原因を分析することが重要です。

要因5:実験室データと現場環境の乖離

複合環境では劣化の進み方が変わる

ゴム材料の選定では、メーカーのカタログ値や試験データを参考にします。
しかし、PDFではカタログデータの多くが「常温・単一環境」における数値である一方、実際の現場では複数の要因が同時に作用する点が課題として挙げられています。
実際の設備では、高温状態で油に触れながら振動を受けるといった複合環境が珍しくありません。
こうした環境では、それぞれの条件を単独で評価した場合とは異なる劣化が発生する可能性があります。
したがって、カタログ上では適合しているように見えても、実際の使用環境で問題が発生するケースがあります。

実機に近い条件で検証する

実機で発生する条件をできるだけ再現した複合環境試験を行うことで、実使用時のリスクを把握しやすくなります。
想定される最悪条件を整理し、その条件下で材料や部品の耐久性を評価することが重要です。
部品単体の材料試験だけではなく、可能であれば実際の設備に組み込んだ状態で評価することも重要です。
取り付け時の圧縮、応力、振動などは、材料単体の試験では再現できない場合があります。
材料選定では、カタログスペックをそのまま採用基準にするのではなく、現場環境を踏まえた安全率を考える必要があります。
実験室と実機のギャップを認識することが、早期破損を防ぐ重要なポイントです。

屋外配管用パッキンの長寿命化事例

改善前の課題

PDFでは、屋外配管用パッキンの長寿命化事例が紹介されています。
改善前は、NR/SBRの汎用ゴムを使用したパッキンが屋外環境で使用され、2年以内に亀裂が発生していました。
不具合原因として考えられたのが、オゾン劣化と角形状への応力集中です。
つまり、材料だけではなく、使用環境と部品形状の両方が劣化に影響していたことになります。

NR/SBRからEPDMへ材質を変更

対策の一つとして、材料をNR/SBRから耐候性を考慮したEPDMへ変更しています。
屋外環境という使用条件に合わせて、材料そのものを見直した例です。

角部へRを設けて応力を分散

材料変更と同時に、角部へRを設ける形状変更も行われました。
これによって、角部へ集中していた応力を分散させています。
この改善によって、交換サイクルが大幅に延び、メンテナンス工数の削減につながったとされています。
重要なのは、単にゴム材質を変更したことではありません。
「形状と環境をセットで考えた」ことが長寿命化につながった事例です。

ゴム部品を長寿命化するためのチェックポイント

ゴム部品の早期劣化を防ぐには、設計・選定時に使用条件を整理しておくことが重要です。
PDFでは、次の5項目がチェックポイントとして示されています。

1. 瞬間的な最高温度まで確認する

通常運転時の温度だけでなく、瞬間的・一時的に到達する最高温度まで確認します。

2. 油種・薬品名・濃度・温度を確認する

「油に触れる」だけでは情報が不足しています。
具体的な油種・薬品名、濃度、温度などを確認することが重要です。

3. オゾン・紫外線の影響を確認する

屋外で使用する場合には、オゾンや紫外線などの環境影響を考慮します。

4. 鋭角部の応力集中を確認する

部品形状に鋭角な箇所がある場合、応力集中が発生していないかを確認します。

5. 実環境に近い条件で評価する

材料単体のカタログ値だけではなく、実際に使用する環境へ近い条件で評価できているかを確認します。
これらを事前に整理することで、材料選定や設計変更の精度を高めることができます。

複数の性能を総合的に比較する

素材選定では、一つの性能だけを見て判断しないことが重要です。
高い耐熱性を持つ材料であっても、必要な機械的強度とのバランスが取れていなければ、別の不具合につながる可能性があります。
ゴム部品に求められる性能は、用途ごとに異なります。
熱、油、オゾン、紫外線、荷重など、実際に部品が受ける条件を整理したうえで、必要な性能を総合的に比較することが重要です。
PDFでは、劣化要因に応じた材料例として、EPDM、シリコーンゴム、NBR、フッ素ゴムなどが挙げられています。
大切なのは、「このゴムが最も優れている」と考えることではなく、使用条件に対して適した材質を選定することです。

材料変更と設計変更を同時に検討する

ゴム部品の劣化対策では、材料変更と設計変更を切り離して考えないことが重要です。
耐候性の高い材料へ変えても、角部への応力集中が残っていれば、そこから破損する可能性があります。
反対に、形状を改善しても、使用環境に材料が適合していなければ劣化は避けられません。
材料と形状を同時に検討することが、長寿命化への近道です。

ゴム部品の劣化対策なら「ゴム加工.com」へ

使用条件の把握から改善策を検討

ゴム部品の劣化対策では、最初に使用条件をできるだけ具体的に把握する必要があります。
株式会社第一では、使用環境、接触する流体、温度、想定寿命などを詳細に確認したうえで、改善策を検討するアプローチを取っています。
材料の変更だけではなく、素材選定、金型形状、コストなども含めて最適な方法を検討します。
PDFでは、発注者とサプライヤーという関係だけではなく、「技術的な伴走者」として課題解決に取り組む姿勢が示されています。

パッキン・ガスケット・Oリングの加工に対応

ゴム加工.comでは、パッキンやガスケット、Oリングをはじめ、さまざまなゴム製品の加工について相談できます。
「現在使っているゴム部品がすぐに劣化する」「屋外で亀裂が発生する」「油に触れると膨らんでしまう」といった課題では、部品だけでなく使用環境から見直すことが重要です。

ゴムローラ・ゴムシート・ゴム板にも対応

ゴム部品の課題はシール材だけではありません。
ゴムローラ、ゴムシート、ゴム板などについても、使用環境や負荷条件を踏まえて素材や加工方法を検討する必要があります。

ヒアリング・提案・検証の3段階でサポート

株式会社第一の技術アプローチでは、「ヒアリング」「提案」「検証」という3段階が示されています。
まず実際の使用条件を確認し、素材選定や形状などを提案したうえで、試作・評価によってカタログ値と実環境との乖離を埋めていきます。
安易に「この材料なら大丈夫」と判断するのではなく、物理的な限界やトレードオフも確認しながら、リスクを抑えることが重要です。

まとめ

ゴム部品の劣化は、単純な材料性能の問題だけで発生するものではありません。
熱による硬化・軟化、オゾンによる亀裂、油・溶剤による膨潤や抽出に加え、部品形状による応力集中や、実験室データと現場環境の違いも寿命を大きく左右します。
特に重要なのは、使用環境・材料・形状・負荷・検証方法をセットで考えることです。
ゴム部品が早期に破損した場合、すぐに高性能な材料へ変更するのではなく、まず「なぜ劣化したのか」を確認しましょう。
場合によっては、材料変更よりも角部へRを付けるといった形状変更の方が効果的なケースもあります。
ゴム加工.comでは、使用環境や温度、接触流体、想定寿命などを確認しながら、素材選定や形状を含めたゴム部品の改善について相談できます。
パッキン、ガスケット、Oリングなどの寿命や材質選定に課題がある場合は、材料単体ではなく、実際の使用環境と設計条件を含めて見直すことが長寿命化への第一歩です。

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