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リサイクルゴムとは何か?種類・特徴・用途からゴム製品の素材選定までわかりやすく解説

環境負荷の低減や資源の有効活用が求められるなか、「リサイクルゴム」への関心が高まっています。しかし、リサイクルゴムとは具体的にどのような素材なのか、新しいゴムとは何が違うのか、どのような製品や用途に使用されているのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
リサイクルゴムは、使用済みのタイヤやゴム製品、製造工程で発生するゴム端材などを再利用してつくられる材料です。資源の有効活用につながる一方、原料や製造方法によって特性が異なるため、用途や要求性能を踏まえて適切な材料を選ぶことが重要です。
本記事では、リサイクルゴムとは何かという基礎知識から、主な種類や特徴、用途、天然ゴム・合成ゴムとの違い、ゴム製品を製作する際の素材選定のポイントまでわかりやすく解説します。
さらに、パッキンやガスケット、Oリング、ゴムローラ、ゴムシート・ゴム板などの加工や、テフロン(PTFE)・ウレタンをはじめとする樹脂・エラストマー系素材も含め、用途に適した素材・加工方法を選ぶ考え方をご紹介します。
リサイクルゴムとは?
リサイクルゴムとは、使用済みのタイヤやゴム製品、製造工程で発生したゴムの端材などを回収し、再び利用できるように処理した材料の総称として使われる言葉です。
一口にリサイクルゴムといっても、すべてが同じ方法で再利用されるわけではありません。
たとえば、廃ゴムを細かく粉砕してゴムチップやゴム粉として利用する方法があります。一方、加硫されたゴムを処理し、再びゴム原料として利用しやすい状態にした「再生ゴム」もあります。
そのため、リサイクルゴムを検討する際には、単に「再利用されたゴム」と考えるだけでなく、どのような原料を、どのような方法で再資源化した材料なのかを確認することが重要です。
リサイクルゴムが注目される背景
リサイクルゴムが注目される背景には、廃棄物の削減や資源の有効活用に対するニーズの高まりがあります。
製造業では、製品そのものの性能やコストだけでなく、原材料の調達から製造、使用、廃棄・再利用までを含めて資源を効率的に利用する考え方が重要になっています。
特に、資源をできるだけ長く循環させる「サーキュラーエコノミー」の観点では、使用済み製品や製造時に発生した材料を廃棄するのではなく、再び資源として活用することが求められます。
ゴムについても、使用済み製品や加工時の端材などを適切に再利用できれば、資源循環の一つの手段になります。
ただし、環境への配慮だけで材料を決めるのではなく、製品に必要な性能や安全性、耐久性などを満たせるかを確認することが大切です。
リサイクルゴムの原料と再生方法
使用済みタイヤなどの廃ゴム製品
リサイクルゴムの原料の一つとなるのが、使用済みタイヤをはじめとした廃ゴム製品です。
一般的には、回収したゴム製品から金属などの異物を分離し、用途に合わせて破砕・粉砕することで、ゴムチップやゴム粉などの再生資源として利用します。
細かく粉砕したゴムは、その粒径や品質、用途などに応じて、舗装材や床材、緩衝材などさまざまな用途で利用できます。
このような方法は、ゴムをそのまま廃棄するのではなく、材料として再利用するマテリアルリサイクルの一つと考えられます。
製造・加工工程で発生するゴム端材
ゴム製品の製造・加工工程では、製品形状によっては材料の切れ端や余剰部分などが発生します。
こうした端材についても、材質や状態、異物の混入状況などを適切に管理することで、再資源化できる可能性があります。
使用済み製品と比較すると、製造工程から発生する端材は材料の履歴を把握しやすいケースがあります。一方で、異なる材質が混ざってしまうと、再利用時の品質管理が難しくなる場合があります。
したがって、リサイクルを前提とする場合は、材料を適切に分別・管理することも重要です。
加硫ゴムを再利用するための再生処理
一般的なゴム製品の多くは「加硫」と呼ばれる工程によって、弾性や強度などを持たせています。
加硫したゴムは熱可塑性樹脂のように単純に加熱して溶かし、再成形できる材料ではありません。そのため、廃ゴムを再びゴム原料として利用するには、粉砕だけでなく、再生のための処理が必要になる場合があります。
再生ゴムでは、廃ゴムを細かくした後、熱・機械的作用などを利用して加工しやすい状態へ変化させ、再びゴム材料として利用します。
再生処理の方法や原料によって得られる材料の性質は変わるため、新しいゴム材料と同じものとして扱うのではなく、要求性能に適しているかを確認して使用することが重要です。
リサイクルゴムの主な種類と特徴
ゴムチップ
ゴムチップは、使用済みタイヤなどのゴム製品を比較的大きな粒状に破砕した材料です。
ゴムが本来持っている弾性や衝撃を吸収する性質を活用できるため、舗装材や床材、緩衝用途などで利用されています。
用途によって求められる粒の大きさや品質が異なるため、原料の種類や粒径などを確認して選ぶことが必要です。
ゴム粉
ゴム粉は、廃ゴムをさらに細かく粉砕した粉末状・微粒子状の材料です。
粒径や原料となるゴムの種類などに応じて、さまざまな再利用方法が考えられます。
ゴムチップとゴム粉の明確な区分は用途や規格によって異なる場合がありますが、一般には粒径の違いによって呼び分けられています。
再生ゴム
再生ゴムは、加硫済みの廃ゴムなどに再生処理を施し、再び加工可能な状態に近づけた材料です。
単純に細かく砕いたゴムチップ・ゴム粉とは異なり、ゴム材料として再利用しやすくするための処理が行われる点が特徴です。
ただし、原料や再生方法によって性能は異なります。新品の天然ゴムや合成ゴムとまったく同じ性能になるわけではないため、使用目的に合わせた材料設計が必要です。
リサイクルゴムのメリットと採用時の注意点
廃棄物の削減と資源の有効活用
リサイクルゴムを活用する大きなメリットは、廃棄されるゴムを再び資源として利用できることです。
使用済み製品や製造工程で発生する端材を再利用できれば、廃棄物の削減につながります。また、用途によっては新しい原材料の使用量を抑えながら製品をつくる選択肢にもなります。
企業が資源循環や環境負荷低減に取り組むうえでも、ゴム材料のリサイクルは検討対象の一つとなるでしょう。
ただし、「リサイクル材を使用すれば必ず環境負荷が小さくなる」と一律に判断することはできません。回収や再生処理、輸送なども含めた評価が必要になるため、用途や目的に応じて検討することが大切です。
工業製品では要求性能との適合が重要
リサイクルゴムを工業製品へ採用する場合、最も注意したいのが要求性能との適合です。
原料となる廃ゴムの種類や再生方法などによって、材料の特性は異なります。
たとえば、工業用のゴム部品では、次のような性能が求められることがあります。
- 耐熱性
- 耐油性
- 耐候性
- 耐薬品性
- 耐摩耗性
- 硬度
- 弾性
- シール性
- 寸法精度
パッキンやOリングのように液体・気体を密封する部品では、材料の選定が製品性能に大きく影響します。
したがって、「リサイクル材料だから環境に良い」「価格が安そう」といった理由だけで選定せず、使用環境と要求性能を整理したうえで判断することが重要です。
リサイクルゴムの主な用途
建築・土木分野
リサイクルゴムは、建築・土木分野で舗装材や弾性を必要とする材料などに利用されています。
ゴムが持つ弾性や衝撃吸収性を生かせるため、床面や舗装、振動・衝撃を緩和する用途などへの活用が考えられます。
使用場所によって屋外耐候性や耐久性、荷重条件などが異なるため、それぞれの用途に適した材料を選定する必要があります。
スポーツ施設・床材・マット
ゴムチップなどのリサイクル材は、スポーツ施設や各種床材、マットなどにも活用されています。
こうした用途では、ゴムの弾性やクッション性、衝撃吸収性などを生かすことができます。
一方、人が直接触れる場所や屋外環境などでは、用途に応じた品質・安全性などについても確認が必要です。
工業・製造分野
工業・製造分野では、ゴムは防振、緩衝、シール、搬送など非常に幅広い役割を担っています。
ただし、すべての用途でリサイクルゴムが適しているとは限りません。
たとえば、高い耐油性が必要なパッキン、高温環境で使用するシール部品、屋外で長期間使用する部品などでは、NBR、FKM、EPDMといった特性の異なる合成ゴムが候補になる場合があります。
重要なのは、リサイクルゴムか新品のゴムかを先に決めることではなく、製品の使用条件と要求性能から適切な材料を選ぶことです。
天然ゴム・合成ゴムとの違い
天然ゴム(NR)
天然ゴム(NR)は、ゴムの木から採取されるラテックスを原料とするゴムです。
一般的に機械的強度や反発弾性に優れており、ゴムらしい弾性を必要とする幅広い用途で利用されています。
一方、耐油性や耐候性などについては用途上注意が必要です。そのため、油に接触する環境や長期間屋外で使用する製品では、別の合成ゴムが選ばれることがあります。
合成ゴム
合成ゴムは、化学的に合成されたゴム材料です。
代表的なものには、NBR(ニトリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、シリコーンゴム、FKM(フッ素ゴム)などがあります。
それぞれ特性が異なるため、使用環境に合わせた使い分けが重要です。
たとえば、NBRは一般的に耐油性に優れ、EPDMは耐候性や耐オゾン性に優れています。シリコーンゴムは耐熱・耐寒性が求められる用途で使用され、FKMは高い耐熱性・耐薬品性が求められる用途で検討されます。
このように、同じ「ゴム」でも性能には大きな違いがあります。
リサイクルゴム・天然ゴム・合成ゴムの選び方
リサイクルゴムと天然ゴム・合成ゴムのどれを使用するかは、用途や要求性能によって判断します。
まず確認したいのは、製品がどのような環境で使われるのかという点です。
たとえば、次のような条件を整理します。
- 使用温度は何℃程度か
- 油や薬品に触れるか
- 屋外で使用するか
- 水や湿気にさらされるか
- 摩擦や繰り返し荷重があるか
- どの程度の耐久性が必要か
環境負荷の低減を重視する用途でリサイクルゴムが候補となる一方、高い耐油性や耐熱性、シール性などが要求される部品では、特定の合成ゴムが適する場合があります。
材料の名称だけで決めず、「どのような環境で、何を実現する部品なのか」から逆算することがポイントです。
ゴム製品を製作する際の素材選定のポイント
1. 使用環境を整理する
ゴム材料を選定する際は、最初に使用環境を整理しましょう。
特に温度、油、薬品、紫外線、水分などは、ゴムの劣化に大きく関係する要素です。
たとえば、屋外で長期間使用する場合には耐候性が重要になります。機械油が付着する環境なら耐油性、薬品を扱う装置なら耐薬品性の確認が必要です。
また、静的な状態で使用する部品なのか、繰り返し圧縮・変形する部品なのかによっても求められる性能は変わります。
2. 部品に求める機能を明確にする
次に、部品が果たす役割を明確にします。
パッキンやガスケット、Oリングであれば、液体や気体を漏らさないシール性能が重要です。
ゴムローラでは、摩擦特性や耐摩耗性、硬度、弾性などが重要になる場合があります。
緩衝材や防振材では、衝撃・振動をどの程度吸収する必要があるかがポイントです。
「ゴム部品が欲しい」という情報だけでは、最適な材料を判断することは困難です。用途、温度、接触物、荷重、必要寿命などをできるだけ具体化すると、材料選定を進めやすくなります。
3. 形状・数量・加工精度まで考慮する
素材の特性だけでなく、製品形状や要求される加工精度も重要です。
同じゴム材料であっても、板材から切り出す方法、切削加工、金型成形など、形状や数量によって適した加工方法が変わります。
試作品や少量品では金型を使わない加工が適する場合がある一方、量産では金型成形が適しているケースもあります。
また、複雑な形状や厳しい寸法精度が求められる場合には、材料選定と加工方法を別々に考えるのではなく、製作性まで含めて検討することが大切です。
ゴム以外の素材も含めて検討する
PTFE(テフロン)
ゴム部品を検討していても、使用条件によっては樹脂材料の方が適している場合があります。
代表的な材料の一つが、一般に「テフロン」と呼ばれるフッ素樹脂の一種であるPTFEです。
PTFEは、低摩擦性や耐薬品性、耐熱性などに優れた材料です。そのため、摺動性や薬品への耐性などが重視される用途では、ゴム以外の選択肢として検討できます。
ただし、ゴムとは弾性やシールの仕組みなどが異なります。単純な置き換えではなく、部品に求める機能に応じて選定する必要があります。
ウレタン
ウレタンは、耐摩耗性や機械的強度、弾性などを生かした用途で広く利用される材料です。
特に摩耗が問題となる部品や、ローラ、緩衝材などでは選択肢となります。
一方で、ウレタンも種類によって耐水性や耐薬品性などが異なります。「ウレタンだからこの性能」と一括りにせず、具体的な材質・グレードと使用条件を照らし合わせて判断することが重要です。
必要な機能から素材を選ぶ
部品の材料選定では、「以前からゴムを使っているから今回もゴム」と決めてしまうと、より適した材料を見逃す可能性があります。
重要なのは材料を起点に考えるのではなく、部品に必要な機能から考えることです。
耐油性、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、弾性、摺動性、寸法精度など、必要な性能を整理すると、天然ゴムや各種合成ゴムだけでなく、PTFEやウレタンなども候補になります。
ゴムと樹脂の両方を扱える加工会社へ相談すれば、材料の枠を越えて比較検討しやすくなります。
ゴム・樹脂加工なら「ゴム加工.com」へ
使用環境に応じたゴム材質をご提案
「どのゴムを使えばよいかわからない」「現在の材料では耐久性に問題がある」といった課題がある場合は、材料選定の段階から専門会社へ相談することが重要です。
ゴム加工.comでは、用途や使用環境に応じたゴム材質の提案に対応しています。
たとえば、屋外での耐候性が求められる場合はEPDM、機械油や作動油への耐油性が求められる場合はNBRなど、使用条件を確認しながら候補となる材料を検討できます。
材料を指定して加工を依頼するだけでなく、使用環境や要求性能から素材選定について相談できることが特徴です。
試作から量産、図面のない部品まで対応
ゴム加工.comでは、パッキンやガスケット、Oリングをはじめ、ゴムローラ、ゴムシート・ゴム板など、さまざまなゴム製品の製作・加工について相談できます。
加工方法についても、製品形状や数量、要求精度などに応じて検討することが重要です。
たとえば、試作・少量生産では金型を製作せず、切削加工などで対応できるケースがあります。一方、複雑な形状や精度が求められる製品については、金型成形が適している場合もあります。
図面だけでなく、手書きのイラストや現物の写真などから製作可否を相談できるため、「古い設備の交換部品で図面が残っていない」といったケースでも相談しやすいでしょう。
ゴム・樹脂・金属を含めた複合的な検討が可能
ゴム加工.comは、ゴムだけでなく樹脂や金属を含めた複合部品・加工にも対応しています。
そのため、「ゴムを想定していたものの、使用条件を考えると別素材の方が適しているのではないか」といった場合にも、素材を限定せずに検討できます。
PTFE(テフロン)やウレタンをはじめとした材料も視野に入れ、用途、使用環境、必要性能、数量、コストなどの条件から適切な素材・加工方法を検討することが重要です。
ゴム部品の新規製作はもちろん、既存部品の材質変更、廃番部品の代替、耐久性改善、試作から量産まで、ゴム・樹脂加工に関する課題がある場合は、素材選定の段階から相談してみるとよいでしょう。
まとめ
リサイクルゴムとは、使用済みのタイヤやゴム製品、製造工程で発生する端材などを再び資源として活用するための材料です。
ゴムチップ、ゴム粉、再生ゴムなどさまざまな形で再利用されており、廃棄物の削減や資源の有効活用という点で重要な役割を担っています。
一方、工業製品の材料として使用する場合は、環境面だけでなく、耐熱性、耐油性、耐候性、耐薬品性、耐摩耗性、シール性など、製品に求められる性能を満たせるか確認しなければなりません。
用途によっては、天然ゴムやNBR、EPDM、シリコーンゴム、FKMなどの合成ゴムが適していることもあれば、PTFEやウレタンなどを検討した方がよいケースもあります。
「リサイクル材か新品材か」「ゴムか樹脂か」と材料から決めるのではなく、使用環境や要求性能から最適な材料を逆算することが、ゴム製品の素材選定では重要です。
ゴム加工.comでは、天然ゴム・合成ゴムをはじめとした各種ゴム素材に加え、樹脂なども含めた素材・加工方法の相談に対応しています。パッキン、ガスケット、Oリング、ゴムローラ、ゴムシート・ゴム板などの製作や、素材選定、試作・量産、既存部品の改善などでお困りの場合は、用途や使用環境を整理したうえで相談することをおすすめします。
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