1. 主要ページへ移動
  2. メニューへ移動
  3. ページ下へ移動

ゴム加工.com コラム

記事公開日

エラストマーとゴムの違いとは?熱可塑性(TPE・TPR)の種類と特徴を徹底解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

製品設計や部品調達の現場で、「エラストマーとゴムの違いは何だろう?」「TPEやTPRって結局どれを選べばいいの?」と悩まれることはありませんか?最適な素材選びは、製品の品質や製造コストを大きく左右する重要なプロセスです。

近年、軽量化やリサイクル性の高さから熱可塑性エラストマー(TPE)の需要が急増していますが、使用環境によっては従来のゴム(熱硬化性)が適しているケースも多々あります。

この記事では、混同されがちな「エラストマーとゴムの決定的な違い」や、TPE・TPRの代表的な種類とそれぞれの特徴について徹底解説します。自社製品にぴったりの素材を見つけるためのガイドとして、ぜひご活用ください。

エラストマーとは?

製品の設計や部材調達を行う際、「エラストマー」という用語を頻繁に耳にするはずです。しかし、その正確な定義やゴム・プラスチックとの関係性を明確に説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。まずは、エラストマーの基本概念について紐解いていきます。

エラストマーの意味と語源(Elastic+Polymer)

エラストマー(Elastomer)とは、英語の「Elastic(弾力のある、伸縮性のある)」と「Polymer(重合体、ポリマー)」を組み合わせた造語です。常温でゴムのような弾性を持ち、力を加えると変形し、力を抜くと元の形状に戻る性質(弾性回復力)を備えた高分子材料の総称として用いられます。
学術的な広い意味では、弾性を持つ樹脂素材全般を指す言葉として定義されています。

エラストマーの2大分類(熱硬化性と熱可塑性)

エラストマーは、熱を加えたときの性質の変化によって、大きく「熱硬化性エラストマー」と「熱可塑性エラストマー」の2種類に分類されます。この分類を理解することが、適切な素材選定の第一歩となります。

熱硬化性エラストマー(いわゆる一般的な「ゴム」)

熱硬化性エラストマーは、加熱することによって化学反応(架橋反応)を起こし、網目状の立体構造を形成して固まる性質を持つ素材です。一度固まると、再び熱を加えても溶けることはありません。生卵をゆで卵にすると、二度と生卵には戻らない現象に似ています。
私たちが日常的に「ゴム」と呼んでいる天然ゴムや合成ゴムは、専門用語ではこの熱硬化性エラストマーに分類されます。

熱可塑性エラストマー(TPE)

一方、熱可塑性(ねつかそせい)エラストマーは、常温ではゴムのような弾性を示しますが、高温に加熱すると溶けて液状になり、冷却すると再び固まる性質を持っています。チョコレートやロウソクのように、温度変化によって固体と液体を行き来することが可能です。
この素材は、プラスチックの加工しやすさとゴムの柔軟性を併せ持つ画期的な材料であり、英語の「Thermoplastic Elastomer」の頭文字をとって「TPE」と呼ばれます。

エラストマーとゴムの違い

「エラストマーとゴムの違いは何ですか?」という疑問は、製造現場で非常に多く寄せられます。ここでは、両者の関係性と具体的な特性の違いについて詳しく比較していきましょう。

結論:ゴムは「エラストマーの一部(熱硬化性)」である

結論から申し上げると、学術的には前述の通り『ゴムは熱硬化性エラストマーの一部』です。しかし、製造現場や商習慣においては、『ゴム=従来の熱硬化性ゴム』『エラストマー=TPE(熱可塑性)』と区別して呼ばれるのが一般的です。言葉の定義と現場での使われ方にズレがあるため、注意が必要です。

【比較表】熱硬化性(ゴム)と熱可塑性(TPE)の性質・加工方法の違い

現場で「ゴム(熱硬化性)」と「エラストマー(熱可塑性)」を使い分けるために、重要な違いを以下の項目に分けて解説します。

比較項目 熱硬化性エラストマー(一般的なゴム) 熱可塑性エラストマー(TPE)
熱への反応 加熱しても溶けない(熱硬化) 加熱すると溶ける(熱可塑)
耐熱限界 非常に優れている ゴムに比べると劣る(軟化点あり)
成形方法 加硫成形(時間がかかる) 射出成形・押出成形(短時間)
量産性・コスト 設備が大掛かり・加工時間が長い 大量生産に向き、コストダウンに寄与
リサイクル性 再利用が困難(産業廃棄物になりやすい) 再溶融・粉砕による再利用が容易

耐熱限界と使用環境の違い

前述した「熱に対する反応(熱硬化と熱可塑)」の違いは、そのまま製品化された後の耐熱性に直結します。

熱硬化性である従来のゴムは、一度固まると溶けない性質上、非常に耐熱性に優れています。高温環境下でも変形したり軟化したりしにくいため、自動車のエンジン周辺など、過酷な環境での使用に適した素材です。

対照的にTPEは、一定以上の温度(軟化点)に達すると再び溶け始めてしまうため、耐熱性においては従来のゴムに劣ります。高温環境での使用には適しておらず、採用する際は製品の使用環境温度を事前にしっかりと確認しておく必要があります。

成形工程の違い(加硫成形 vs 射出成形・押出成形)

製造工程における違いも非常に重要です。
ゴムの成形には「加硫(かりゅう)」という工程が不可欠です。硫黄などの架橋剤を加え、熱と圧力をかけて化学反応を起こさせるため、成形時間が長く(数分〜数十分)、大掛かりな設備が必要となります。
一方、TPEは加硫工程が不要です。プラスチックと同じように、溶かして金型に流し込む「射出成形」や、押し出して成形する「押出成形」が適用できます。数十秒から数分という短いサイクルで成形できるため、圧倒的な生産効率を誇ります。

コスト・量産性・リサイクル性の違い

生産効率の高さは、そのままコストや量産性に直結します。TPEは大量生産に向いており、トータルでの製造コストダウンに寄与します。
さらに、環境配慮の観点からも大きな違いが存在します。熱硬化性のゴムは再溶融できないため、不良品や端材の再利用が困難であり、産業廃棄物となるケースが少なくありません。しかし、TPEは熱を加えれば再び溶けるため、端材を粉砕して再利用(リサイクル)することが容易です。サステナビリティが重視される現代において、TPEの採用が増加傾向にある理由の一つがここにあります。

TPEとは(熱可塑性エラストマー)?主な種類と特徴

「tpeとは(熱可塑性エラストマー)」と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。ベースとなる樹脂(ハードセグメント)とゴム成分(ソフトセグメント)の組み合わせによって、特性が大きく変化します。ここでは代表的な5つの種類を解説します。

スチレン系(TPS / SBC)

ポリスチレンとゴム成分を組み合わせた素材で、TPEの中でも最も一般的に普及しています。常温でのゴム弾性が高く、非常に柔らかい触感が特徴です。着色性や加工性にも優れており、日用品から工業用部品まで幅広い用途で採用されています。コストパフォーマンスの高さも魅力です。

オレフィン系(TPO)

ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン系樹脂をベースにしたTPEです。比重が軽く、耐候性(紫外線やオゾンへの耐性)に優れているのが特徴です。その結果、過酷な屋外環境に晒される自動車の外装部品や、ウェザーストリップなどに多用されています。軽量化による燃費向上にも貢献する素材です。

ウレタン系(TPU)

ポリウレタンをベースにしたTPEであり、非常に高い機械的強度と耐摩耗性、耐引き裂き性を誇ります。ゴムとプラスチックの中間のような強靭さを持つため、靴のソール、キャスターの車輪、スポーツ用品など、物理的な負荷や摩擦が激しい環境で使用される部品に最適です。

エステル系(TPEE / TPC)

ポリエステルをベースとしており、TPEの中でも特に優れた耐熱性と耐油性、耐薬品性を備えた高機能素材です。金属の代替として使用されることもあり、自動車のエンジン周辺部品や、産業用ホース、ジョイントブーツなど、高い信頼性が求められる過酷な環境下で重宝されます。

アミド系(TPAE / TPA)

ポリアミド(ナイロン)をベースにしたTPEで、優れた反発弾性と屈曲疲労性(繰り返し曲げられても壊れにくい性質)を持っています。軽量でありながら強靭であるため、高級スポーツシューズのソールや、スキーブーツ、消音ギアなどの特殊な用途で採用されることが多い素材です。

TPRとは(熱可塑性ゴム)?TPEとの違いを解説

素材を検索していると「tprとは(熱可塑性ゴム)」という言葉に出会うことがあります。「TPEと何が違うのか?」と戸惑う方も多いでしょう。ここではTPRの定義と、TPEとの関係について整理します。

TPRの定義と語源(Thermoplastic Rubber)

TPRは「Thermoplastic Rubber(熱可塑性ゴム)」の略称です。語源の通り、熱可塑性を持つゴム素材を意味しており、物質の性質としてはTPE(熱可塑性エラストマー)とほぼ同義と考えて問題ありません。

TPEとTPRの呼称の違い・使い分け

物質としては同じものを指すことが多いものの、歴史的背景や地域、業界によって呼び方が分かれています。

海外(特にアジア圏)と日本での商慣習的な呼び方の違い

欧米や日本では学術的な正確さを重視し「TPE」という呼称が一般的です。しかし、中国や台湾をはじめとするアジア圏の製造工場などでは、古くからの慣習として「TPR」という名称が広く使われている傾向があります。海外メーカーから部材を調達する際や、図面をやり取りする際には、相手の意図する素材が「TPE」と同じであることを確認しておくとスムーズです。

スチレン系(SBS配合物など)を特定して「TPR」と呼ぶケース

一部の業界や素材メーカーにおいては、TPE全体を指すのではなく、特定の素材(例えばスチレン系エラストマーであるSBSや、それにゴムを配合したもの)に限定して「TPR」という商品名や分類名を用いているケースがあります。その結果、発注ミスを防ぐためにも、単に「TPR」と指定するのではなく、ベースとなる樹脂の種類や要求物性を具体的に伝えることが重要となります。

【用途別】TPE・エラストマーの代表的な活用事例

エラストマー(TPE)は、私たちの身の回りのあらゆる製品に活用されています。具体的な用途を分野別に見ていきましょう。

自動車産業(ウェザーストリップ、内装表皮、バンパーなど)

自動車業界はTPEの最大の需要先です。車体の軽量化が急務となっている近年、従来の加硫ゴムや金属からの置き換えが進んでいます。窓枠のシール材であるウェザーストリップには耐候性の高いオレフィン系(TPO)が、インストルメントパネルなどの内装表皮には触感の良いスチレン系(TPS)やウレタン系(TPU)が幅広く採用されています。

家電・電子機器(グリップ、パッキン、ケーブル被覆など)

電動工具や家電の持ち手(グリップ)部分には、滑りにくく手になじむスチレン系TPEが多く使われています。また、防水性を高めるためのパッキンやスイッチカバー、さらには柔軟性と絶縁性が求められるケーブルの被覆材など、電子機器の安全性や操作性を向上させるための必須素材となっています。

日用品・医療・ヘルスケア(歯ブラシの柄、カテーテル、スポーツ用品)

日常的に手にする歯ブラシの柄の滑り止めや、密閉容器のパッキンなどにもTPEが使われています。また、医療分野においては、塩化ビニルや天然ゴム(ラテックスアレルギーのリスク)の代替として、安全性の高いTPE製の輸液チューブやカテーテル、シリンジのガスケットなどの需要が増加しています。

設計者・購買担当者必見!最適なエラストマー素材の選び方

数あるエラストマーの中から、自社製品に最適な素材を選ぶためには、どのような基準を設けるべきでしょうか。

要求物性(硬度・耐熱性・耐薬品性・耐候性)からの絞り込み

まずは、製品が使用される環境と満たすべき性能を明確にします。
「屋外で紫外線を浴びるのか(耐候性)」「エンジンルームなどの高温になる場所か(耐熱性)」「油や薬品に触れるのか(耐薬品・耐油性)」「人の肌に直接触れるのか(安全性・触感)」など、条件を洗い出します。
これらの条件を照らし合わせることで、例えば「耐油性と耐熱性が必須」であればエステル系(TPEE)を、「コストを抑えつつ柔らかい触感が欲しい」のであればスチレン系(TPS)を選ぶといった絞り込みが可能になります。

加工方法(単色成形、2色成形、インサート成形)への適合性評価

どのような製法で製品を形作るかも重要です。TPEの大きな強みは、硬いプラスチック部品と柔らかいTPEを同時に成形する「2色成形」や「インサート成形」が可能な点です。これにより、組み立て工程を省略し、部品の接着強度を高めることができます。ただし、TPEの種類によって相性の良いプラスチック(接着しやすい樹脂)が異なるため、基材となるプラスチックとの適合性を事前に評価しておく必要があります。

最適な素材選定から高精度加工まで「ゴム加工.com」にお任せください

ここまで解説してきたように、エラストマーやゴムの素材選定は専門的な知識が要求され、少しの選択ミスが製品の品質やコストに大きな影響を与えます。「用途に合った素材がわからない」「現在の部品の耐久性を上げたい」といったお悩みを抱えていませんか。

そのような課題解決は、株式会社第一が運営する「ゴム加工.com」へぜひご相談ください。

当社は、天然ゴムや合成ゴムなどあらゆるゴム関連の素材を幅広く取り扱っております。豊富な知見に基づき、お客様の要求スペックに合わせた最適な素材選定から、図面に基づいた高精度加工まで、ゴムに関するあらゆる課題に即応する体制を整えています。

パッキンやガスケット、Oリングといった微細な部品から、ゴムローラ、ゴムシート、ゴム板などの各種ゴム製品の加工まで、多様なニーズに柔軟に対応いたします。
さらに、ゴムだけでなく、テフロンやウレタンをはじめとする高機能な樹脂製品の取り扱いもございます。ゴムと樹脂の両面からのアプローチが可能であるため、用途に最適なソリューションをワンストップでご提案いたします。

試作開発から量産まで、素材と加工のプロフェッショナルである「ゴム加工.com」へ、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

エラストマーとは弾性を持つ高分子材料の総称であり、その中で熱を加えると固まる性質(熱硬化性)を持つのが従来の「ゴム」、熱で溶けて再成形できる性質(熱可塑性)を持つのが「TPE(熱可塑性エラストマー)」です。海外などで呼ばれる「TPR」も基本的にはTPEと同義です。

TPEは加硫工程が不要でリサイクル性が高く、量産に向いているというメリットがある一方で、用途や使用環境(特に高温や特殊な薬品下)によっては、耐熱性や耐久性に優れる従来の熱硬化性ゴムの方が適しているケースも多々あります。

それぞれの特性を正しく理解し、要求スペックに合致した最適な素材を選ぶことが、高品質な製品開発の成功の鍵となります。素材選びに迷われた際は、専門の加工業者への相談をご検討ください。

企画・設計段階から専門家へ相談

材料選定や複雑な加工方法にお悩みですか?企画段階から量産まで、豊富な知識と経験に基づいた最適なソリューションをご提案します。
企画・設計段階から専門家へ相談
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Contact

お問い合わせ

ゴムには色々な種類があり、それぞれに特性があります。
使用する用途や環境条件に応じて、適切な素材と加工法の選定が求められます。

最適なご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※法人のお客様に限らせていただいております。

お電話でのお問い合わせ

03-3433-2551

9:00~17:00 ※土日・祝日除く