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ゴム加工.com コラム

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アクリルゴム(ACM)とは?特徴や用途、最適な素材の選び方を徹底解説

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自動車のエンジンルームの中など、「高温」と「油」が同時に襲いかかる非常に過酷な環境下で、ひび割れたり溶けたりしない強靭なゴム素材をご存じでしょうか。それが「アクリルゴム(ACM)」です。

「耐油性ならニトリルゴム(NBR)で十分ではないか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、NBRは100℃を超えるような高温環境では劣化してしまいます。かといって、最高峰のフッ素ゴム(FKM)を使用するとコストが跳ね上がってしまう……。アクリルゴムは、そんな「NBRでは耐えられないが、フッ素ゴムを使うほどの予算はない」という絶妙なニーズを満たす、耐熱・耐油性に優れた優秀な素材です。

この記事では、「アクリルゴム(ACM)とは何か?」という基礎知識から、混同されやすいアクリル樹脂との違い、メリット・デメリット、具体的な用途を分かりやすく徹底解説します。あわせて、使用環境に適した最適な素材選びのコツと、思い通りの形状に仕上げる高精度加工のポイントをご紹介していきます。

アクリルゴム(ACM)とは?

アクリル酸エステルを主成分とする合成ゴム

アクリルゴム(Acrylic Rubber:略称ACM)は、アクリル酸エステルを主な原料として化学的に合成されたゴム素材です。分子の構造上、熱や油、酸素(オゾン)によるダメージを受けにくい特性を持っています。
一般的なゴム素材が苦手とする「高温環境」と「油環境」の両方に対する耐性を併せ持っているため、過酷な産業用途で重宝されています。

アクリル樹脂との違いとは?

「アクリル」と聞くと、水族館の巨大な水槽や透明なプラスチックケースなどに使われる「アクリル樹脂」を思い浮かべる方が多いかもしれません。名前は似ていますが、両者は全くの別物です。
アクリル樹脂は硬くて透明性が高く、力を加えると割れてしまう「プラスチック(合成樹脂)」の仲間です。一方、アクリルゴムは弾力があり、引っ張ると伸びて元に戻る「ゴム(エラストマー)」の仲間です。原料の一部に共通点はありますが、加工後の性質や用途は完全に異なりますので、部品を選ぶ際は混同しないよう注意が必要です。

アクリルゴム(ACM)の特徴とメリット

高温の油が循環するような過酷な環境で、なぜアクリルゴムが選ばれるのでしょうか。その理由は、以下の3つの優れたメリットにあります。

150℃以上の高温環境に耐えうる「優れた耐熱性」

一般的な耐油ゴムであるニトリルゴム(NBR)の耐熱温度が100℃前後であるのに対し、アクリルゴムは150℃〜170℃前後の高温環境でも長期間使用することができます。高温下でもゴムがカチカチに硬化したり、逆に溶けてドロドロになったりしにくいため、熱が発生する機械の周辺で高い信頼性を発揮します。

高温のエンジンオイルや潤滑油に強い「抜群の耐油性」

アクリルゴム最大の強みは、「高温」と「油」の組み合わせに強い点です。エンジンオイル、ギヤオイル、潤滑油といった鉱物油に長時間浸かっても、ゴムが油を吸って膨張(膨潤)したり、本来の弾力を失ったりしにくいという優れた耐油性を持っています。

紫外線やオゾンに強く、屋外でも劣化しにくい「耐候性」

分子構造の安定性が高いため、太陽光(紫外線)や空気中のオゾンにさらされても、表面にひび割れ(クラック)が発生しにくいという特徴があります。屋外の配管や機器など、風雨にさらされる環境下でも長期間にわたってゴムの機能を維持します。

アクリルゴム(ACM)のデメリットと使用上の注意点

耐熱・耐油性に優れた優等生なアクリルゴムですが、水や寒さといった特定の条件には非常に弱いという明確なデメリットがあります。

寒さに弱く、低温で硬化しやすい

高温には強い一方で、寒さには弱いという弱点があります。一般的にマイナス10℃〜15℃を下回るような低温環境になると、ゴムがカチカチに硬化してしまい、パッキンやシール材としての柔軟性を失って漏れの原因になります。(※配合によって低温特性を改善したグレードも存在します。)寒冷地での使用には十分な注意が必要です。

水や蒸気、特定の薬品(アルカリなど)に弱い

アクリルゴムの致命的な弱点が「水(耐水性の低さ)」です。熱水や水蒸気にさらされると、ゴムの成分が分解(加水分解)してボロボロになってしまいます。また、アルカリ性の薬品や、一部の極性溶剤(アルコール、ケトン類など)にも弱く、これらに触れる環境では絶対に使用してはいけません。

アクリルゴム(ACM)の主な用途と加工品

アクリルゴムは具体的にどのような製品に加工・使用されているのでしょうか。

自動車分野:エンジン周辺のオイルシール、トランスミッションのガスケット

アクリルゴムが最も活躍しているのが自動車産業です。エンジンの熱とエンジンオイルの両方にさらされる「オイルシール」や「Oリング」、オートマチックトランスミッション(AT)内部の「ガスケット」など、絶対に油漏れが許されない重要部品の素材として大量に使用されています。

一般工業分野:高温の油圧機器に使われるOリングやパッキン

自動車以外の工業分野でも、高温の作動油が循環する「油圧機器」や「ポンプ」のシール材として採用されています。NBRではすぐに劣化してしまうような過酷なラインにおいて、機械の長寿命化とメンテナンス頻度の削減に貢献しています。

現場に合わせてカットして使える「ゴムシート・ゴム板」

工場のメンテナンス現場などで重宝されるのが、アクリルゴムの「ゴムシート・ゴム板」です。作業台の耐熱・耐油マットとして敷いたり、カッターなどで独自のフランジ形状に切り出して即席のガスケットを作ったりと、用途に合わせて柔軟に活用できます。

最適な素材の選び方と他素材との比較

アクリルゴムを適切に活用するためには、他のゴム素材との使い分けを理解することが重要です。

NBR(ニトリルゴム)やFKM(フッ素ゴム)との使い分け

それぞれのゴム素材には得意な温度域とコストに明確な違いがあります。以下の表を参考に、環境と予算のバランスに合った最適な素材を選定してください。

ゴム材質 耐熱温度の目安 耐油性 耐候性 コスト 使い分けの目安(こんな時におすすめ)
NBR
(ニトリルゴム)
100℃〜120℃ 安価 100℃以下の一般的な油環境
ACM
(アクリルゴム)
150℃〜170℃ 中程度 100℃〜150℃の高温の油環境
FKM
(フッ素ゴム)
200℃以上 高価 200℃以上の極限環境や特殊薬品の環境

コストと性能のバランスを見極めるポイント

アクリルゴムはNBRよりも高価ですが、FKMと比較すると大幅にコストを抑えることができます。使用する機械の「最高温度」と「油の種類」を正確に把握し、「オーバースペックにならない、ちょうど良い性能の素材」を選ぶことが、コスト削減と品質維持の鍵となります。

水回りの使用は厳禁!環境条件の正確な把握

前述の通り、アクリルゴムは水に弱いため、水回りのパッキン(水道管など)には絶対に使用しないでください。水回りであれば、耐水性・耐候性に優れた「EPDM(エチレンプロピレンゴム)」などが適しています。

関連記事:EPDMとは?エチレンプロピレンゴムの特徴や用途、選び方を解説

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まとめ

アクリルゴム(ACM)は、一般的な耐油ゴム(NBR)では耐えられない「150℃以上の高温」と「油」が共存する過酷な環境で、抜群の耐久性を発揮する優れた合成ゴムです。自動車のエンジン周辺のオイルシールや、高温の油圧機器などで欠かせない存在となっています。
しかし、水や寒さには非常に弱いという明確な弱点があるため、使用環境を正確に把握し、NBRやフッ素ゴム(FKM)などと適材適所で使い分けることが重要です。

ゴム素材の選定に迷った際や、高精度な加工部品をお探しの際は、ゴムと樹脂の専門知識を持つ株式会社第一の「ゴム加工.com」へぜひご相談ください。プロフェッショナルな視点で、貴社の課題解決に最適なご提案と加工技術を提供いたします。

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