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ゴム加工.com コラム

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NBR(ニトリルゴム)材質とは?特徴や用途、パッキン等への使われ方を解説

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自動車のエンジン周辺や水回りなど、油や摩耗から機械を守る部品として活躍しているニトリルゴム(NBR)。一般的な天然ゴムにはない優れた「耐油性」を持つ合成ゴムとして、私たちの生活を陰ながら支えています。

昨今の製造現場では機械の高性能化に伴い、パッキン等の部品に求められる耐久基準が厳格化しています。そのため環境に適した素材選定に悩み、品質維持やコスト管理に課題を抱える企業が増えています。

この記事では、NBR(ニトリルゴム)の基本から具体的なメリット・デメリット、用途に応じた選び方を分かりやすく解説し、あわせて最適な素材選定を実現するための重要なポイントをご紹介します。

NBR(ニトリルゴム)とは?

私たちの身の回りには多様なゴム製品が存在しますが、それらは大きく分けて自然の樹液から作られる「天然ゴム」と、石油などの化学物質から人工的に作られる「合成ゴム」に分類されます。NBR材質(ニトリルゴム)は、後者の合成ゴムの中でも極めて需要の高い代表的な素材の一つです。

産業界や専門書などでは、アクリロニトリル・ブタジエンゴムの英語表記(Nitrile Butadiene Rubber)の頭文字をとって「NBR」と略称で呼ばれる傾向にあります。主成分であるアクリロニトリルとブタジエンという二つの物質を結合(共重合)させることで生成されるこの素材は、化学的な構造上、他の素材には真似できない特有の強みを持っています。

1930年代にドイツで開発されて以来、その画期的な性能が世界中で評価され、現在では自動車から日用品に至るまで、油や摩耗にさらされる過酷な環境下で不可欠な存在としての地位を確立しています。

NBR(ニトリルゴム)の主な特徴とメリット

NBR(ニトリルゴム)が世界中のあらゆる産業で広く利用されている背景には、主に3つのメリットがあります。これらは、特定の過酷な環境下において製品の品質と寿命を支える、強力な強みとなっています。

油に強い「優れた耐油性」

NBR(ニトリルゴム)の最大の利点は、その「優れた耐油性」にあります。一般的な天然ゴムや汎用合成ゴムは、ガソリンや潤滑油などの鉱物油に触れると、油を吸収してスポンジのように膨らんでしまう(膨潤する)性質を持っています。その結果、ゴムの強度が著しく低下し、本来の役割を果たせなくなってしまいます。

一方でNBR(ニトリルゴム)は、分子の中に含まれる「アクリロニトリル」という成分の働きにより、油を強力にはじく性質を備えています。このため、油に長時間浸されたり、日常的に油が飛散したりする環境下でも、ゴム自体の体積や強度がほとんど変化しません。自動車のエンジンルームや工場の油圧機械など、油と常に接する場所において、圧倒的なパフォーマンスを発揮します。

摩擦に耐えうる「高い耐摩耗性と機械的強度」

油に対する強さだけでなく、物理的なダメージに対するタフさもNBR(ニトリルゴム)の大きな魅力です。ゴムが他の物質と擦れ合った際に削れにくい性質である「耐摩耗性」が非常に高く、激しい動きを伴う機械の稼働部においても、長期間にわたって形状を維持することができます。

さらに、引っ張る力や引き裂く力に対する「機械的強度」も汎用合成ゴムの中でトップクラスを誇ります。高い圧力がかかる場所でパッキンとして使用された際にも、圧力に負けて千切れたり破損したりするリスクが低いため、安全性が求められる工業製品の重要保安部品として絶大な信頼を集めています。

加工性が良くバリエーション展開が豊富

工業製品において、素材の加工のしやすさはコストダウンと大量生産に直結する重要な要素です。NBR(ニトリルゴム)は、金型に流し込んで成形するプレス加工や、押し出し加工など、さまざまな製造手法に柔軟に対応できる「加工性の良さ」を持っています。

また、原料となるアクリロニトリルの結合割合(結合量)を調整することで、ゴムの性質をコントロールできる点も大きなメリットです。アクリロニトリルの量を増やせば耐油性がさらに向上し、逆に量を減らせば後述する耐寒性を高めることができるなど、使用する環境や目的に合わせて最適な「バリエーション」を選択することが可能です。

NBR(ニトリルゴム)のデメリットと注意点

優れた耐油性と強度を誇るNBR(ニトリルゴム)ですが、万能ではありません。使用する環境によっては性能を十分に発揮できないことがあるため、採用する際は、以下の弱点を理解し、適切な対策を講じることが大切です。

太陽光やオゾンに弱い「耐候性の低さ」

NBR(ニトリルゴム)の代表的な弱点として挙げられるのが、屋外での使用に対する「耐候性の低さ」です。太陽からの直射日光(紫外線)や、空気中に含まれるオゾンに長時間さらされると、ゴムの分子構造が破壊され、表面に「クラック」と呼ばれるひび割れが発生しやすくなります。

このため、屋外で常に風雨や日光にさらされるような場所のパッキンやシール材としてNBR(ニトリルゴム)を単独で使用することは、あまり推奨されません。屋外での使用が避けられない場合は、オゾン劣化防止剤を配合する、あるいは耐候性に優れた他のゴム素材(EPDMなど)で表面を保護するといった工夫が必要となるようです。

関連記事:EPDMとは?エチレンプロピレンゴムの特徴や用途、選び方を解説

寒さに弱い「低温環境での硬化」

温度変化に対する弱さ、特に「耐寒性の低さ」も注意すべきポイントです。一般的なNBR(ニトリルゴム)は、マイナス10℃からマイナス20℃程度の低温下になると、ゴム特有の柔軟性が失われ、プラスチックのようにカチカチに硬化してしまう傾向にあります。

硬化したゴムは外部からの衝撃を吸収できず、また密閉性を保つための弾力も失われるため、隙間から油やガスが漏れ出す原因となります。寒冷地での使用や、冷凍庫内といった低温環境下では、アクリロニトリルの結合量を調整した「耐寒グレード」のNBR(ニトリルゴム)を選定するか、より低温に強いシリコーンゴムなどへの変更を検討することが重要です。

極性溶媒(一部の薬品)への弱さと電気特性

NBR(ニトリルゴム)は鉱物油に対しては無類の強さを発揮しますが、アルコール類やケトン類(アセトンなど)、エステル類といった「極性溶媒」と呼ばれる特定の薬品に対しては非常に弱く、触れると激しく膨潤・劣化してしまいます。

また、電気を通しにくい絶縁性については、他の合成ゴムと比較して劣る傾向にあります。そのため、高い絶縁性が求められる高電圧の電線の被覆や、精密な電子部品のシール材としては不向きとされています。使用する環境にどのような薬品が存在するのか、電気的な絶縁性が必要かどうかを事前にしっかりと確認することが不可欠です。

NBR(ニトリルゴム)はどんなところで使われている?主な用途

NBR(ニトリルゴム)は、その優れた耐油性と耐摩耗性から、他の素材では代替が困難な特定の分野で非常に価値ある素材として活用されています。

自動車分野:燃料ホースやオイルシール

NBR(ニトリルゴム)の消費量の大部分を占めているのが、自動車産業です。自動車の内部はガソリンやエンジンオイル、ブレーキフルードなど、多種多様な油が循環する過酷な環境となっています。

燃料タンクからエンジンへガソリンを送る「燃料ホース」や、回転する金属部品の隙間からオイルが漏れるのを防ぐ「オイルシール」など、絶対に油を漏らしてはならない最重要パーツにNBR(ニトリルゴム)が多用されています。長期間の振動や摩擦、油の飛散に耐え抜く強靭な耐久性が、安全で快適な車の走行を根底から支えているといえるでしょう。

工業・機械分野:油圧機器のパッキン・ガスケット

工場の製造ラインや建設機械などを動かす動力源として、油の圧力を利用した「油圧機器」が広く使われています。こうした機器の内部では、常に高圧の油が循環しているため、金属部品の接続部から油が漏れないように強固に密閉する部品が不可欠です。

NBR(ニトリルゴム)は、この油圧シリンダーやポンプの内部で使用される「パッキン」や「ガスケット」、「Oリング」の材質として第一選択肢となります。高い圧力に耐えうる機械的強度と、油に対する絶対的な耐性を兼ね備えているため、過酷な環境で稼働する産業機械の心臓部を守る重要な役割を担っています。

日用品分野:生活家電のシール材や手袋

工業用途だけでなく、私たちの身近な生活の場でもNBR(ニトリルゴム)は活躍しています。例えば、キッチン周りの生活家電や、水道の蛇口内部のシール材などです。料理油や洗剤などが付着する可能性がある場所において、劣化しにくい素材が求められることから、NBR(ニトリルゴム)が採用されるケースが増加傾向にあります。

また、医療現場や食品工場、清掃作業などで使用される「ニトリル手袋」も、NBR(ニトリルゴム)を薄く加工して作られたものです。天然ゴム特有のタンパク質を含まないためラテックスアレルギーの心配がなく、薬品や油に強いため、安全で衛生的な作業をサポートする必需品として定着しています。

NBR(ニトリルゴム)製品の加工と選び方の重要なポイント

NBR(ニトリルゴム)は用途に合わせて様々な形状に加工されて現場へ提供されます。最適な製品を選ぶためには、素材の基本的な特性を理解するだけでなく、使用目的や環境に応じた的確な判断が求められます。

密閉性を高める「パッキン・Oリング」と硬度選定

機械の隙間を埋めて液体や気体の漏れを防ぐ「パッキン」や「Oリング」は、NBR(ニトリルゴム)の最も代表的な加工品です。ここで非常に重要になるのが、ゴムの「硬さ(硬度)」の選定です。

柔らかいNBR(ニトリルゴム)は低い圧力でも金属の隙間にしっかり密着してくれますが、高い圧力がかかると押しつぶされて隙間からはみ出してしまう恐れがあります。一方で硬いNBR(ニトリルゴム)は高圧には耐えられますが、隙間に密着させるためには強い力で締め付ける必要があります。一般的にNBR(ニトリルゴム)のOリングは硬度70度前後が標準とされていますが、使用する箇所にかかる圧力や接触する金属の表面状態に合わせて、最適な硬度を緻密に計算して選定しなければなりません。

用途に合わせて選べる「ゴムシート・ゴム板」

様々なサイズや厚みにカットして自由に使える「ゴムシート」や「ゴム板」も、汎用性の高い製品形態です。工場の作業台のマットとして敷いたり、独自の形状に切り抜いてオリジナルのガスケットを製作したりと、現場の多様なニーズに合わせて柔軟に活用できます。

NBR(ニトリルゴム)のゴムシートを選ぶ際は、厚みやサイズだけでなく、中に補強用の布が挟み込まれた「布入りゴムシート」など、用途に応じた物理的強度を持つ製品を選択することが、破損を防ぎ長持ちさせるためのポイントとなります。

使用環境の油分・温度に合わせた的確な判断

NBR(ニトリルゴム)製品を導入する際、最も注意すべきは「使用環境の正確な把握」です。接触する油の種類は何か、最高温度と最低温度はどの程度になるのか、屋外で使用する可能性はないかなど、細かな条件を事前にリストアップしておく必要があります。

例えば、NBR(ニトリルゴム)は含まれるアクリロニトリルの量によって性格が変わります。極端な低温環境で使用する場合はアクリロニトリルの含有量が少ないグレード(低ニトリル)を選び、逆に極めて強い耐油性が求められる場合は含有量が多いグレード(高ニトリル)を選ぶといった調整が行われます。環境と素材のミスマッチは、製品の短寿命化や深刻な機械トラブルを引き起こす原因となるため、専門的な知見に基づいた的確な判断が不可欠です。

油漏れ対策・耐油パッキンなら「ゴム加工.com」へお任せください

機械・自動車産業に欠かせない耐油性の要、ニトリルゴム。私たちは、ニトリル含有量の違いによる膨潤率の変化まで考慮し、最適なニトリルゴム製品をご提供します。油圧機器のOリングやオイルシールなど、微細な寸法精度が求められる加工もお任せください。長年のノウハウで、貴社の設備の安定稼働に貢献します。

まとめ

NBR(ニトリルゴム)材質は、卓越した耐油性と高い耐摩耗性を兼ね備えた、現代の工業社会において不可欠な合成ゴムです。自動車の燃料ホースから油圧機械のパッキン、身近なニトリル手袋に至るまで、油や摩擦が関わる過酷な環境下で機器の安全と性能を守り続けています。

一方で、耐候性の低さや低温環境での硬化といった弱点もあるため、素材の個性を正しく理解し、適材適所で活用することが、高品質な製品作りの鍵となります。今回ご紹介した特徴や選び方のポイントを参考に、環境に適合した的確な素材選定を行ってみてください。素材選びや高精度な加工でお困りの際は、私たち「ゴム加工.com」が専門知識をもって全力で課題解決のお手伝いをいたします。

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