記事公開日
ブタジエンゴム(BR)とは?用途やスチレンブタジエンゴム(SBR)との違いを解説!

自動車のタイヤや靴底など、私たちの生活に欠かせない製品に多く使われているブタジエンゴム。合成ゴムの中でも高い弾力性と耐摩耗性を誇りますが、実際にはどのような特徴を持ち、身近な製品のどこに使われているのか意外と知られていません。
多くの事業者が素材選定において、性能とコストのバランスに課題を抱えています。特に合成ゴムの種類は多岐にわたり、それぞれの特性を正しく理解し活用することが、製品の品質向上には不可欠となっているようです。
この記事では、ブタジエンゴムの基本から用途、スチレンブタジエンゴム(SBR)との違いまでを分かりやすく解説し、あわせて最適な素材選びのポイントをご紹介します。
合成ゴムの代表格ブタジエンゴム(BR)とは?
私たちの生活を支えるゴム製品には、大きく分けて「天然ゴム」と「合成ゴム」の2種類が存在します。その合成ゴムの中でも、特に生産量が多く、産業界で広く利用されているのが「ブタジエンゴム」です。
ブタジエンゴムは、英語名の「Butadiene Rubber」の頭文字をとって「BR」と略称で呼ばれるのが一般的です。石油から作られる「1,3-ブタジエン」という物質を分子レベルでつなぎ合わせる(重合させる)ことで作られます。
天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)と並び、合成ゴム界の「四大汎用ゴム」の一つです。
ブタジエンゴムのメリット
ブタジエンゴムが多くの製品に選ばれる理由は、主に3つあります。これらは「分子の動きやすさ」というブタジエンゴム独自の特徴から生まれる長所であり、他のゴム素材では代替が難しいほど強力な強みとなっています。
反発弾性
あらゆるゴム素材の中でも、ブタジエンゴムはトップクラスの「反発弾性」を誇ります。これは、力を加えて変形させた際に、元の形に戻ろうとする力が極めて強いことを意味します。
ボールが地面に当たった際に高く跳ね上がるような、エネルギーの損失が少ない動きが可能です。この特性があるため、動的な負荷がかかる部品において高い信頼を得ています。
耐摩耗性
摩擦による「すり減り」に対する強さ、すなわち「耐摩耗性」が非常に優れています。路面と激しく擦れ続けるタイヤや、歩行のたびに地面を蹴る靴底において、この特性は製品の寿命を延ばすために不可欠な要素といえます。
摩耗しにくいということは、それだけ製品の交換サイクルを長くできるため、環境負荷の低減にも寄与します。
耐寒性
ブタジエンゴムは極めて低い温度でも硬くなりにくい「耐寒性」を備えています。一般的なゴムは氷点下の環境ではカチカチに硬くなり、弾力性を失って割れやすくなることがありますが、ブタジエンゴムはマイナス100℃近い極低温下でも柔軟性を維持できる優れた特性を持っています。
このため、寒冷地で使用される機械のパーツや、温度変化が激しい環境下でのシール材として重宝されています。
ブタジエンゴムのデメリット
非常に優秀な素材であるブタジエンゴムですが、どのような環境でも万能というわけではありません。使用にあたっては、以下の弱点を把握しておく必要があります。
耐油性
ブタジエンゴムはガソリンや潤滑油といった油類に対して非常に弱いという「耐油性」の低さがあります。油に触れると、ゴムが油を吸収して膨張し、強度が低下して脆くなる傾向にあります。
このため、エンジンの内部や油が飛散する環境での使用には、より耐油性に優れたニトリルゴム(NBR)などが選ばれるのが一般的です。
関連記事:NBR(ニトリルゴム)材質とは?特徴や用途、パッキン等への使われ方を解説
耐候性
日光(紫外線)やオゾン、酸素の影響を受けやすい「耐候性」の問題も指摘されます。屋外で長時間放置されると表面にひび割れ(クラック)が生じやすく、劣化が早く進む恐れがあります。
このため、屋外で使用される製品においては、劣化防止剤を配合したり、耐候性に優れた他のゴム素材を表面に配置したりする工夫が必要です。
ブタジエンゴムはどんなところで使われている?主な用途
ブタジエンゴムは、その高い機能性から、目に触れる最終製品だけでなく、機械の内部を支える重要な部品にまで、幅広い用途で利用されています。
自動車用タイヤ(トレッド・サイドウォール)
ブタジエンゴムの最大の需要先は、自動車のタイヤです。路面と直接接する「トレッド」部分に配合することで、タイヤの摩耗を抑え、製品寿命を大幅に延ばす効果が期待されています。
その結果、燃費性能の向上にも寄与します。また、タイヤの側面(サイドウォール)にも柔軟性を高めるために使用されるケースが多く、走行時の衝撃を和らげる役割を担っています。
靴底(ソール)やスポーツ用品
毎日履く靴、特にスポーツシューズや作業靴の底(ソール)にもブタジエンゴムは欠かせません。激しい動きでも削れにくく、地面を蹴り出す力をしっかりサポートする反発力が評価されています。
さらに、ゴルフボールの芯(コア)にも活用されており、インパクトの瞬間の驚異的な飛びを生み出す源泉となっています。
工業用部品(ホース・ベルト・防振材)
産業機械の分野では、振動を吸収する「防振ゴム」や、重い荷物を運ぶ「コンベアベルト」の材料として重宝されています。また、摩耗しやすい砂利や粉体を運ぶホースのライニング材としても活用されています。
ただし、前述の通り油には弱いため、使用環境に油が含まれていないかを確認することが、素材選定のポイントとなります。
ブタジエンゴムとスチレンブタジエンゴム(SBR)の違い
ブタジエンゴム(BR)を検討する際、必ずといっていいほど比較対象に挙がるのが「スチレンブタジエンゴム(SBR)」です。名称は似ていますが、その特徴には明確な違いがあります。
SBRはブタジエンに「スチレン」という成分を加えたもので、世界で最も多く生産されている汎用合成ゴムです。品質が安定しており加工しやすいため、多くの工業製品のベースとして使用される傾向にあります。
一方のBRは、SBRよりもさらに「反発弾性」と「耐摩耗性」に特化した素材です。そのため、一般的な製品にはバランスの良いSBRを使い、より過酷な摩耗や強い弾力が求められる部分にBRを配合する、といった使い分けやブレンドが行われるのが一般的です。
関連記事:スチレンブタジエンゴム(SBR)とは?特徴や用途について詳しく解説
ブタジエンゴムの加工と製品の種類
ブタジエンゴムは、用途に応じた様々な形状に加工されて現場へ届けられます。
用途に合わせて選べる「ゴムシート・ゴム板」
最も汎用性が高いのが「ゴムシート」や「ゴム板」の形状です。ここから必要なサイズに切り出し、ライニング材や滑り止めとして使用されます。耐摩耗性が高いため、衝撃が加わりやすい場所の保護材として高い効果を発揮します。
精密な密閉を支える「パッキン・ガスケット・Oリング」
液漏れや気体の漏れを防ぐ「パッキン」や「Oリング」としても加工されます。特に低温環境下での密閉性が求められる場所では、ブタジエンゴムの耐寒性が真価を発揮します。優れた復元力により、長期間にわたり隙間を埋め続ける安定した性能が期待されます。
ゴム硬度の選定が重要な「ゴムローラ」
印刷機や搬送機に使われる「ゴムローラ」にも適しています。製品を傷つけずに効率よく運び、かつローラ自体の摩耗を抑えることが可能です。ローラの性能は「硬度(柔らかさ)」に大きく左右されるため、対象物に合わせて最適な数値を導き出すことが重要となります。
高弾性素材の課題解決なら「ゴム加工.com」にお任せください
天然ゴムを超える弾性と耐摩耗性を持つブタジエンゴム。その特性を最大限に活かすためには、用途に合わせた適切な配合と加工が欠かせません。
私たちは、ブタジエンゴムの強みを活かした工業用パーツや防振材の製作実績が豊富です。「耐摩耗性をさらに高めたい」「コストを抑えつつ弾性を維持したい」といったご要望に、プロの視点でお応えします。
まとめ
ブタジエンゴムは、抜群の反発弾性と耐摩耗性、そして耐寒性を備えた、現代社会になくてはならない素材です。タイヤや靴底、スポーツ用品など、私たちの生活を支える様々なシーンでその能力を発揮しています。
SBRなどの他の素材との違いを理解し、適切に使い分けることで、製品の品質はさらに向上するでしょう。素材選定や加工に関するお悩みがあれば、専門的な知識と確かな技術を持つプロフェッショナルに相談することが、最良の結果を得るための近道となるでしょう。
企画・設計段階から専門家へ相談


